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注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

 「一枚の繪」誌上はもとより、公募展やグループ展、個展などで活躍中の作家は数多くいます。作家デビューしてから研鑽を積み、実力があり、人気が出て活躍をしていても、大臣賞などの大きな賞を獲らないと、メディアではなかなか取り上げられなくなっていきます(すみません)。そうした作家にスポットをあてて、今一度人気の理由や作品の魅力をお伝えする「注目の画家-Re・markable Artist」。
 第1回は、公募美術団体一水会や研水会に所属し、個展やグループ展でも活躍中、5月に阪神百貨店での個展をひかえる西滝直人先生にご登場いただきました。


注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

西滝直人先生

注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

 『水面の反映』 油彩50号
(2000 年 第29 回 現代洋画精鋭選抜展 入選作)

注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

『阪堺電車と通天閣』 油彩4号
( 2014年7月号掲載作品)

注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

『鞆の常夜燈』油彩スケッチSM 大
( 2016年9月号掲載作品)

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導かれた画家への道

西滝先生は、1972 年大阪生まれ。子どもの頃から絵が好きで描いていたのは世の画家と同様、

「自主的に絵を描き始めたのは中学2年の夏から。ガッシュでイラストのような絵を描いていました。当時宿題で描いた絵の評判が良く、気を良くしたのでしょう。『大人になっても絵を描くかどうかの分かれ目は、子供の頃に褒められたか貶されたかだ』と聞いたことがありますが、本当にそうかも知れません。」

とおっしゃる西滝先生。意識的にか無意識的にか、この時すでにに画家になることを目指していたのかもしれません。描き続ける度に画力が上がっているの実感されていたということもまた、自信を深めた理由だったのでしょう。
 この時分に影響を受けたのはアンドリュー・ワイエス。アメリカン・リアリズムを継承しながらも叙情的でヒューマニスティックな作風の国民的画家との出会いは、

「中学校の教科書に載っていたワイエスの『アルヴァロとクリスティーナ』に衝撃を受けました。タイトルはそこで暮らしていた2人の人物名ですが、描かれた絵は誰もいない青い扉のある室内風景です。物や扉の質感表現が素晴らしいだけでなく、物語性があり、具象画でありながら抽象画のような美しさも湛えています。今でも大好きな作品のひとつ」

とのこと。現在の西滝作品に通底する叙情的な作風には、美に開眼したときに見たワイエスの作品に連なるものがあると思うのは筆者だけではないでしょう。
 高校は普通科に進学しながらも美術部に入部。50 号の大作を描きあげ、夏の展覧会に出品し奨励賞を受賞と画力はますます向上。大学はもちろん美大へ。地元、大阪芸術大学へ進学し、画家への道のりを着実に歩んでいきました。
 しかしながら、

「学校の風景やモチーフを並べて静物画などを見たまま描いていましたが、それらはただひと言〈面白くない〉という評価でした。当時は抽象的表現が良いとされる傾向にあり、私も無理して変な絵を描いたりしましたが、肌に合わないということだけは学べました。」

日本はもとより、世界的な美の潮流として、具象から抽象へと流れて、ふたたび具象に戻っていきましたが、西滝先生が大阪芸大時代の指導教員は、抽象表現主義の影響を
全身に浴びた世代だったことは想像に難くなく、抽象画を描くことが自然だったのでしょう。描きたいものを堂々と描けず正当な評価が得られないのはなんともやるせない。
それ故に、大学卒業後は一般企業への就職を選ばれたのは仕方のないことかもしれません。
ましてや時は1995 年、バブル崩壊後で就職難はもちろんのこと、新卒の画家としてやっていくことも不確かな時代。どちらを選ぶかは当時の西滝青年の選択肢は就職しかなかったのでしょう。
 ところが、

「卒業後は2年ほどサラリーマンをしていました。営業で地方への出張などよく行ってました。そのときは忙しくてほとんど絵の活動はしていなかったと思います。
 そんなときにお世話になっていたギャラリーのオーナーから、知り合いの人がカルチャーと専門学校で講師を探しているという話をいただいたので思い切って脱サラしました。」

中学生の頃から自主的に絵を描き続けてきた青年に、美大での理不尽な挫折を経験しても、サラリーマンとしての日々を過ごしながらも、美の神が見逃しませんでした。ゼミの友人たちとグループ展を開催し、「そのとき全く知らない方が自分の絵を見て『欲しい』と言って作品を購入してくれました」という奇跡は、画家にふたたび自信を取り戻させたことでしょう。
さらに、絵の講師の依頼と奇跡が続き、画家・西滝直人が立机するにいたりました(脱サラ直後は教室の仕事のほかにもカフェでアルバイトをするなどのご苦労があったそうです)。


師・池田清明先生との出会いと公募展への出品、個展開催と


 西滝先生の作品発表の場として大きなもののひとつに公募美術団体の一水会がありますが、入会に際しては、師である池田清明先生(一水会運営委員、日展特別会員)との出会いによるところが大きいとのこと。

  「いろんな公募展を見て回る中、気を衒うことなく写実の本道を目指す一水会が一番共感できました。その中でも品性のあるひとつの人物画に魅了されました。それが池田清明先生の作品です。
 私がアルバイトをしていたギャラリーが接点となって、アトリエに招いていただき、絵の指導も受けるようになりました。
 師である池田清明先生との出会いが一水会に入るきっかけです。」

 池田清明先生は大学の先輩でもあり、西滝先生が目指す、思い描いている画想にも近しい作品を発表されています。残念だったことは、西滝先生が在学されていた時分には、池田先生はまだ母校での指導をされていなかったこと(池田先生は2007年〜 10年に大阪芸術大学客員准教授、2016年〜 18年に同教授)。師との出会いは画家として立つ前のもっとも苦しかった頃でした。とはいえこうした回り道もまた、画家になるための階梯だったのかもしれません。
 1996年に一水会に初出品初入選。2019年、第81回展で東京都知事賞を受賞されました(その間、一水会の趣旨に賛同する関西を中心とした作家の集まる研水会に入会。現在、准委員に。さらに2008年からは日展にも出品を開始)。
 一水会への出品、都知事賞受賞までの間にも、もちろん、画家としての歩みの軌跡を着実に描かれていっていました。
 2000 年には大丸心斎橋店での初個展、この年はさらに一枚の繪主催、第29回現代洋画精鋭選抜展(現・絵の現在選抜展)に入選。2010 年から断続的に受賞してきた、しんわ美術展で14年に金賞受賞と、周囲の評価を着実に伸ばしております。

 


 「現代洋画精鋭選抜展に入選したときは、今までいち読者として読んでいた『一枚の繪』に自分の作品が載っているということが、とにかく嬉しかったですね。全国の人に作品を見てもらえるチャンスなので《とどけー》という思いでした。
 一水会では長らく賞に恵まれませんでした。25 年ほど出品してようやく頂けた賞だったので喜びは格別です。受賞作はコロナ禍前年のフランス取材で《ここは100 号で描きたい》と強く感じた光景を絵にした思い入れのある作品です。
 池田先生との出会い、一水会展への出品、現代洋画精鋭選抜展での入選、『一枚の繪』の作品掲載、個展の開催といった感じで軸足が作家へと向かって行きました。その中でもやはり2000 年が大きな転機で、現代洋画精鋭選抜展の入選、そして初個展開催と、画家としてのスタートが始まった年となりました。」
 
注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

『カフェ・ドゥ・ムーラン』 油彩P6号
( 2018年7月号掲載作品)

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「日常の何気ないところ」にある美を描く

 SNS が普及した現在、展覧会や雑誌などによる作品発表にとどまらず、作家たちはさまざまなチャンネルをつかって活動の発表をしています。西滝先生ももちろんそうしたツールによる発表をしているのですが、とにかくよく描き(デッサンをよく掲載)、よく観ている(美術展などの展観記など)なと思わずにはいられません。
カルチャー教室や学校での講師の仕事も少なくなく、その合間を縫っての活動が垣間見られ、美に関すること以外はしていないのではないかと思えるほどです。

 

注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

『マントンの路地裏』 油彩6号
( 2021年2・3月号掲載作品)

 「毎日ブログを書くのは自分に課した課題です。見てくれる人がいるかぎり続けたいと思っています。
ブログだけでなくインスタグラムやツイッター、フェイスブックといったSNS でも積極的に作品を発表しています。私のモチベーションにも繋がりますのでぜひ見てください。
また、デッサンは『物を見て描く』という最も基礎的なものです。アスリートがランニングするように、観察力が衰えないようにトレーニングのつもりで続けています。何より描いていて楽しいですし。」

 「何より描いていて楽しい」。画家の原点はここにあるのかもしれません。
画家が感動した美が作品を通してストレートに味わうことができるのはそれゆえなのでしょう。
ここにきてようやく、インタビュアーの拙さを見せるようで申し訳ないのですが、西滝先生にご自身の作品のセールスポイントをおうかがいしました。

 「観光地の絵はがき的な場所は、誰もが美しいと思うような景色です。ただそうでない日常の何気ないところにもハッとするような光景に出会うことがあります。そんな私自身の心の琴線に触れた光景を絵にしています。絵から感動が伝われば幸いに思います。」

 

注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

『 中之島公園』 油彩P6号
(2021 年4・5月号掲載作品)

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注目の画家―Re・markable Artist #1 西滝直人

自身の琴線に触れた光景を目の前に絵筆をふるう

パリの街角や公園の花壇ごしに憩うひとびと。心地よい風が吹く海べりの丘など、西滝作品は日常の中で見過ごされてしまった美の情景をタブローに表現しています。実はそうしたところに心が豊かになる美があるのだと、観る者に気づかせてくれ、感動を与えてくれています。
令和4年、西滝先生の最初の大きな発表の場となる5月の阪神百貨店での個展でも、そうした何気ない美が描かれた作品の数々を観ることができます。「日常の何気ないところにもハッとするような光景」を、阪神百貨店の会場で味わっていただきたいと思います。さらに大きな作品は、一水会、研水会、日展の会場で感じて欲しいと思います。西滝先生の今後の活動に、日常的に注目していきたい。


西滝先生のSNS
ブログ http://blog.livedoor.jp/nishitaki7010/
ツイッター @nishitaki7010
インスタグラム1 instagram.com/nishitaki7010
インスタグラム2 instagram.com/nishitaki_

【西滝先生の今後の活動予定】
・作品掲載
「一枚の繪」2022年4・5月号(3月19日発売)、6・7月号(5月21日発売)
・個展
西滝直人 油彩画展 〜フランスの憧憬を描いて〜
阪神梅田本店8階ハローカルチャー1 2022年5月18日(水)〜24日(火)
(大阪市北区梅田1-13-13 電話:06-6345-1201〈代表〉)
※営業時間、催し内容、開催期間が変更になる場合がございますので、ご了承ください。

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