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コロナ禍と画家と作品と 〜自粛生活中の絵(画想)のそだて方〜
Vol.1 田中章惠先生の場合
この春は新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐために、緊急事態宣言が発出されました。全国的に外出の自粛や、美術館や画廊、展示施設の休館休廊、百貨店など店舗の臨時休業があり、画家たちの活動の場がなくなる時を過ごさざるを得ませんでした。

田中章惠先生も、その影響を受けた画家のおひとり。連休中に阪神百貨店梅田本店で開催予定だった個展が中止・延期になり、個展に向けて制作された作品たちが日の目を見る機会を逸してしまいました。

この展覧会に向けてのお心持ちや作品のみどころをおうかがいしておりましたので、ここに、来るべき「田中章惠展」のために、阪神百貨店梅田本店での個展に向けて取材させていただいた先生のおことばなどをご紹介いたします。

愛おしいと感じた何かを描きとめておきたい

開催予定だった「—音の紋— 田中章惠 油彩画展」。阪神百貨店では2012年5月に開催された「―いろのかたち・おとのかたち― 田中章惠 油彩展」以来2度めの阪神での個展でした。
今年の個展で発表される作品について田中先生は、

「動物や植物、人…。自然に敬意をはらうとともに愛おしいと感じた何かを描きとめておきたいと思う今日この頃です。描く自分も癒される作品になりました」

と述べられ、作品を見るとすぐにその心持ちが伝わってきました。やさしい色調に彩られ、生きとし生けるものたちがたおやかに描かれるキャンバスには、高いトーンや低いトーンで響く生き物たちの声、風にさゆらぐ草木花の葉擦れの音がハーモニーとなって聴こえてくるようです。

リズム感とイメージ力が色彩の美に繋がっていく

田中作品では常に色彩と音楽の交響を感じますが、それは画家自身の来し方に由来します。
高校までは音大(声楽)を目指し勉強していましたが、祖母の影響で描いていた絵の道へ。武蔵野美術大学大学院を修了され、二紀会で活躍。2009年、第38回繪の現在選抜展で最高賞の金賞を受賞。個展やグループ展を数多く開催し、「一枚の繪」誌上でも活躍されていらっしゃいます。
音楽と絵画。田中作品における音楽の影響は多分に見られます。絵画、音楽に精進した学生時代。

 「大学時代は毎日のクロッキーで、線の美しさを身につけたと思います。小さい頃から学んだ音楽からはリズム感とイメージ力を。それが、色彩の美に繋がるのだと思います。」

絵画と音楽という美の両輪の軌跡ともいえる作品から表出される心地よさは、絵筆によって塗り込められたリズムにあり、そうして観ていくと、作品毎にさまざまな曲までもが視覚、聴覚を通じて体の中に入ってくるようです。目で聴き、耳で眺める田中作品の鑑賞は、やわらかい色彩の寄せては返す漣にいざなってくれます。

画集を見返して新たに沸き起こった制作意欲


緊急事態宣言が解除され、元の日常、または「新しい生活」へと進む現在、外出自粛をされていた期間、どのように過ごされたのかをうかがいました。

 「着物の端切れでマスクを作ったり。エルメスやシャネルの使わなくなったネクタイもマスクにしました。お洒落なのができました!
着物と帯のコーディネートは楽しかったです。写真を撮って整理しました。時間が無いと出来ないことですから。
久しぶりに画集の整理をしていて、学生時代にハマっていたヤンセン(1929-1995 ドイツ現代美術家)やクレモニーニ(1925-2010 イタリア現代美術家)を見つけ、懐かしさと新たに感じた新鮮さに制作意欲を掻き立てられました。私なりに良い時間が過ごせたと思います」


田中先生らしい美しい色彩が元気を与えてくれるようなマスクは、実際に見てみたいとと思うのは筆者だけではないでしょう。そして、これまでの画業(画家になる以前からの分も含めて)とともに積み上げられた画集を見返すことによって、原点を見つめ直すことによって、新たな画想をはぐくんだことでしょう。

色彩のハーモニーで表現する「愛おしさ」


作品を通して表現したいものはとうかがうと、「一言でいうと『愛おしさ』」とおっしゃる田中先生。「愛おし」い表現に癒やされるファンは決して少なくないでしょう。
「音楽の影響は画面全てにあります。リズム、ハーモニー、メロディ。特に色彩に現れていると思います」
田中先生の、愛おしいまでの色彩のハーモニーが表現された作品を見られるのが、今後も楽しみです。
小野月世 水彩展
田中章惠先生
小野月世 水彩展
『グリーンスリーブス』油彩F4号
小野月世 水彩展
『赤い靴』油彩F4号
小野月世 水彩展
小野月世 水彩展
自粛中に作ったマスク(上)。シミの付いたところを退けて縫製。着物と帯のコーディネートは色を重ねていく上で、制作につながるという。
開催中止(延期)になった田中章惠先生の個展
—音の紋― 田中章惠 油彩画展
2020年4月29日(水・祝)〜5月5日(火・祝)
大阪・梅田 阪神百貨店梅田本店9階 美術画廊
※ 展覧会の詳細が発表された際は、一枚の繪のホームページ上でもご案内いたします。


 

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