今回の藤崎での個展も、まさにウイルス試練からの復興途上の時節。〈絵画(アート)の役割〉の一翼を担うべく一枚一枚、心の安寧を祈りながらキャンバスを彩られました。
「ケの日、ハレの日……。コロナ禍においてはそんな日常が破綻されました。その中においての個展ということに、通常時の個展とは異なるさまざまな思いがあります。 「褻晴れ」を取り戻したい気持ちがその言葉になった所以です。
出品作品は、(東日本大震災後にも個展を開催させていただいた)大切な場所でありますから、やはり作品の1/3はご当地の風物詩でいこうと。仙台名所ケヤキ並木や、無念ながら中止が発表された仙台七夕まつり(仙台七夕まつり協賛会より発表)、今回は新しく〈伊達男〉の語源となったとの一説もあると伊達政宗の陣羽織のカラフルな水玉模様のモチーフをふんだんに用いた作品も創りました。もちろん何度も取材を重ねた松島の絶景も外せません」
見る人に寄り添うような作品を生み出す山田先生。今、この時にどのような作品が見る者の心を和ませるのだろうかと、創作者は時として超能力を発揮して、見たいと思っていたものを予見したかのように画布に表します。画材なども、時としては自由に、さまざまなものを表現手段にして展観者が「見たい」と思うものを現出させるのです。
「私は常に頭の中にとめどなく湧き出てくるイメージを具体化するにはどんな材料や手法を使うのが良いか選択する、という順序で制作しています。つまり異なる表現をするために画材を駆使します」という山田先生。緊急事態宣言が解除された後の宮城・仙台の藤崎の個展会場には、来場される方々の期待通りの、否、それ以上の作品が壁に狭しと掛かっていることでしょう。 |