■無意識の物語(挨拶文にかえて)
物語性というものに自分の本領がある気がいたします。
学生時代からその傾向はありましたが、社会問題的な意義を暗に折り込むところがありました。(卒業制作のテーマは狂牛病でした。この作品は、中島千波先生の美術館に収蔵して頂きました。)
現在は、もっと普遍的なものを、心の思いつくままに定着させたいと筆を持っています。
物語性とは、神話、寓話、夢、神秘、古代、といったキーワードで彩ることができると思います。そのようなある意味、非日常が創作の大きな要であり、また我々の人生・生活を豊穣にする根源であると思います。日常における夢や無意識の連想が、どれほど心の中核に近いかは、ユングが芸術世界に与えた確証で明らかです。(僕もたいへんな影響を受けました。)
僕は動物をよく描きますが、そのユニークな外観だけでなく、シンボルとしての人との繋がりに想像を掻き立てられます。
しかし、そのシンボルは、隠されてこそ意味を持ちうる気がしますので、無意識に任せて描いています。動物の擬人化にも大変興味があります。今回の展覧会で、その世界をたくさんの方に観て頂ければ幸いです。 |