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銀座ギャラリー一枚の繪

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村田真樹 陶展 <追悼コーナー 村田省蔵>
ギャラリー一枚の繪では二度目の個展となります。陶という素材を
用いての表現の可能性に挑戦していこうと、日々制作しております。
ご高覧いただけましたら幸いです。         
村田真樹
 
村田真樹先生の3年ぶり、当ギャラリーでは2度目の個展を開催させていただきます。偶、FOREST、WAVE、音楽などのモチーフによるオブジェ、花生、大鉢の他、身近なアートも交えてご出品いただきます。
尚、御父上である村田省蔵先生(昨年89歳でご逝去)の特別コーナーも併設、アトリエに残された油彩画を併せてご覧いただきます。   
 
会期

2019年10月28日(月)〜11月9日(土) 日曜休廊
11:00〜18:30(最終日は16:00まで)

<作家在廊日>
会期中午後(10/31(木)を除く)

才村 啓 展 −光への憧憬2019−

より添う形のおおらなか温もり
枠を超えて表現する土の造形

 緑滴る真夏の鎌倉、浄明寺。
庭木の間を抜けて、父、村田省蔵さんのアトリエの脇を通り、奥へと歩を進めると真樹さんの工房がある。昨年亡くなった父と同じ敷地内に二棟の住まいを建てた三十数年前に、一番先に運び込まれた大きなガス釡はいまも健在だ。
開け放たれた作業場では、今年の日展出品作の制作が行われていた。太い帯状に捏ねた土の塊を慎重に積み上げて成形していく。「一作は完成して、もう一点を創り始め、調子がいいなとどんどん進めていくと、脆くも崩れました。しっかり乾かさないと、自分の重さで潰れてしまう」
気温や湿度に敏感な作陶は、自然と深く結びついている。土に水を混ぜて硬さを調節して、土との対話を重ねながらの作業は、乾燥など自然との関わりを抜きにしては成り立たない。
題タイトルは『偶』。陶のオブジェである。「偶」という文字にインスパイアされて創り始めた(2015年〜)。人形の意味がある「偶」は、土偶の偶であり、偶数、偶然と二つのものの出会いを暗示している。父と母の姿を重ねた、寄り添う二人の像でもある。
大きな土の像の内部は空洞で、以前は内側に粘土の柱を立て、それに沿って骨組みをつくり支えていたが、いまはふくらみをもたせたいと、内側の柱を取り払って空洞のままで制作していく。
やわらかなふくらみがもつ仄かなあたたかさは、いのちを感じさせて、洗練された抽象形態に、どこかヘンリー・ムーアの彫刻を想起するような、おおらかな包容力をもたらしたようだ。
「愛のかたちがテーマなんです」と真樹さんはいう。

才村 啓 展 −光への憧憬2019−

花生 WAVE |陶 H23.1×W48.4×D18.2cm

才村 啓 展 −光への憧憬2019−
偶 |陶 H33.2×W25.7×D11.2cm
才村 啓 展 −光への憧憬2019−
花生 FOREST b |陶 H26.3×W11.2cm

 洋画家村田省蔵(2018年逝去)の長男として一九五四年東京に生まれる。陶芸の道を選んだのは、都立西高校の頃、美術書で目にした本阿弥光悦の樂茶碗がきっかけだった。静寂を湛えた宇宙のような広がりが時空を超えてそこにあったのだ。絵を志さなかったのは、描けば身近に見てきた父の絵に似てしまうというジレンマから逃れられなかったからという。
父の母校でもある金沢美術工芸大学工芸科に進み、九谷の北出不二雄に教授を受けた。
しかし何代も続く伝統を受け継ぐ同輩たちを目の当たりにすると、しだいの現代陶芸の新潮流に惹かれていく。六十年代〜七十年代の先端的なアートの流れを受けて、京焼の本場に生まれながら「走泥社」を設立した八木一夫や清水九兵衛の用を目的としない、クラフトより純粋芸術に近い、ジャンルを超えた新しい造形に魅せられた。
「あの時代にやり尽くされてしまった感があるくらい、いまでも超えられない。僕にとっても新しい造形思考に導かれた、いつまでも色褪せない鮮明に思い浮かぶ時代です」

金沢の姉妹都市で、交換留学制度があった仏のアール・ヌーヴォーの中心地ナンシーの国立高等美術学校に留学したのは七十七年。希望したガラス工芸の科がなく石彫を学ぶが、仏に滞在中にイタリアを旅し、焼き物の街ファエンツァでその後に重要な影響を与える出会いを体験する。伊の現代陶芸の巨匠カルロ・ザウリの展覧会だった。陶芸という枠を遙かに超えて展開されるダイナミックな陶彫の造形。一方でザウリの白と呼ばれる繊細な灰白色。その時、ザウリに勧められて、ファエンツァの陶芸学校に留学する決意を固める。
金沢美大を卒業して一年後。三年にわたったイタリア留学は、自身の造形を生み出す確かな礎となったのだ。

「いま、僕の作品も彫刻にどんどん近づいていますが、陶芸と彫刻の垣根というのは、造り手の意識に任せていいのではないかと。あくまでも独自の表現なのですから」
好きな作家も、若い頃に影響を受けたヘンリー・ムーアやザッキンと彫刻家が並ぶが、自分が刺激を受ける形がたまたま彫刻であるに過ぎないとさり気ない。
画家ではやはりカンディンスキーで、音楽を絵画の源泉に、音から受けたインスピレーションを形や色で表現しようとしたカンディンスキーのように、たとえば『音楽』と題した大鉢では、ジャズのセッションのごとく形や線が自由なやり取りをしてリズムを奏で響き合う愉しくなる絵柄を構成している。
高校時代はモダンジャズを愛好して、ジャズ喫茶に通い、プレイヤーに憧れてトランペットに挑戦したこともあったそうだが、「感性というのは変わらないものですね。五十年経ってもね」とわらう。画家村田省蔵のライフワークとなった稲架木のスケッチから作ったというTシャツ(赤ん坊も含めて村田家の一族全員が持っている)を着た真樹さんに、記憶に残る父の言葉をたずねてみた。
「生前ですが、夢に出てきて、スケッチをしろよと。本当にいわれたことよりリアルに残っているんです」
対象にまっすぐに向き合い、対話を重ねて、いのちの姿を写し取る……。スケッチとはまた、そういう精神の修練なのではないだろうか。技だけではなく、心(感性)を磨くスケッチの大切さを伝えたかったのかもしれない。
真樹さんの制作も、イメージを具現化した紙上のデッサンからはじまる。プロセスを追うと、そこで正面や脇、裏側を検討して素焼きのミニチュアをいくつかつくり、その中から大きくできそうなものを選んで縮尺から割り出して大きさを求め、成形に取りかかる。十分に乾燥させて七〇〇〜八〇〇度で素焼きし、(絵付けする場合や釉薬をかける作業をして)一二五〇度くらいで本焼するがオブジェは十四〜十五時間かかるという。
昨秋、平成記念美術館ギャラリーで「工芸作家三人の挑戦」展が開かれた。七宝(佐々木眞澄)ガラス(友定聖雄)陶芸(村田真樹)という異なった素材による共作展で、真樹さんは『偶』を始めとする三十点を出品したが、その中の「樹」のシリーズの花器を、窓から見える森の風景につなげるように窓辺に置いた。
「花瓶のかたちをしていますが、樹なんです」
絵付けも流れるにまかせたところと意識して入れた部分が交錯して、風に揺れる梢を感じさせる。立ちつくす樹…。それは、稲架木を描いて自然と融和し、自然と闘う生命の姿を見つめてきた村田省蔵の仕事を、かたちを変えて継承する密かな決意なのかもしれないと思うのだ。
真樹さんには昨年、初孫が誕生したが、名前が「樹いつき」。亡くなる少し前に曾孫のために書かれたという命名の書の墨蹟が力強い。
「陶のオブジェをやっていきたい。焼きものとしての質感、素材感を含めた自分の表現を求めて」
陶芸という掌たなごころの芸術を遙かに超えて、土の造形に取り組んでいく。

「いま、僕の作品も彫刻にどんどん近づいていますが、陶芸と彫刻の垣根というのは、造り手の意識に任せていいのではないかと。あくまでも独自の表現なのですから」
好きな作家も、若い頃に影響を受けたヘンリー・ムーアやザッキンと彫刻家が並ぶが、自分が刺激を受ける形がたまたま彫刻であるに過ぎないとさり気ない。
画家ではやはりカンディンスキーで、音楽を絵画の源泉に、音から受けたインスピレーションを形や色で表現しようとしたカンディンスキーのように、たとえば『音楽』と題した大鉢では、ジャズのセッションのごとく形や線が自由なやり取りをしてリズムを奏で響き合う愉しくなる絵柄を構成している。
高校時代はモダンジャズを愛好して、ジャズ喫茶に通い、プレイヤーに憧れてトランペットに挑戦したこともあったそうだが、「感性というのは変わらないものですね。五十年経ってもね」とわらう。画家村田省蔵のライフワークとなった稲架木のスケッチから作ったというTシャツ(赤ん坊も含めて村田家の一族全員が持っている)を着た真樹さんに、記憶に残る父の言葉をたずねてみた。
「生前ですが、夢に出てきて、スケッチをしろよと。本当にいわれたことよりリアルに残っているんです」
対象にまっすぐに向き合い、対話を重ねて、いのちの姿を写し取る……。スケッチとはまた、そういう精神の修練なのではないだろうか。技だけではなく、心(感性)を磨くスケッチの大切さを伝えたかったのかもしれない。
真樹さんの制作も、イメージを具現化した紙上のデッサンからはじまる。プロセスを追うと、そこで正面や脇、裏側を検討して素焼きのミニチュアをいくつかつくり、その中から大きくできそうなものを選んで縮尺から割り出して大きさを求め、成形に取りかかる。十分に乾燥させて七〇〇〜八〇〇度で素焼きし、(絵付けする場合や釉薬をかける作業をして)一二五〇度くらいで本焼するがオブジェは十四〜十五時間かかるという。

才村 啓 展 −光への憧憬2019−
村田真樹先生

昨秋、平成記念美術館ギャラリーで「工芸作家三人の挑戦」展が開かれた。七宝(佐々木眞澄)ガラス(友定聖雄)陶芸(村田真樹)という異なった素材による共作展で、真樹さんは『偶』を始めとする三十点を出品したが、その中の「樹」のシリーズの花器を、窓から見える森の風景につなげるように窓辺に置いた。
「花瓶のかたちをしていますが、樹なんです」
絵付けも流れるにまかせたところと意識して入れた部分が交錯して、風に揺れる梢を感じさせる。立ちつくす樹…。それは、稲架木を描いて自然と融和し、自然と闘う生命の姿を見つめてきた村田省蔵の仕事を、かたちを変えて継承する密かな決意なのかもしれないと思うのだ。
真樹さんには昨年、初孫が誕生したが、名前が「樹いつき」。亡くなる少し前に曾孫のために書かれたという命名の書の墨蹟が力強い。
「陶のオブジェをやっていきたい。焼きものとしての質感、素材感を含めた自分の表現を求めて」
陶芸という掌たなごころの芸術を遙かに超えて、土の造形に取り組んでいく。

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